原著論文で業績を作る
抄録、キーワード、略語、測定単位
(Abstracts, Keywords, Abbreviation and Units of Measurements)
抄録
通常、データベース上で読むことができるのは抄録のみの場合が多いので、抄録は読者がその論文全体を読みたいと思えるよう、また検索エンジンに多くかかるよう、簡潔でありながら、論文全体の内容を完全に網羅するものにすることが重要です。
それでは、抄録を執筆するにあたっての注意点をご紹介しましょう。
- 原著論文、系統的レビュー、メタアナリシスでは、構造化された抄録が必要。
(ジャーナルによって長さや形式が異なる場合が多いので注意。) - 抄録では、研究の背景と目的、基本的な手順 (参加者の選択法、条件、測定・分析方法)、主な所見 (可能ならば臨床的・統計的な意義)、主な結論を述べる。
- 新しく重要な側面を強調する。
- 重要な研究の限界があれば記載する。
- 結果の拡大解釈はしてはならない。
- 臨床試験の抄録の場合、CONSORTグループが必須と定める要件を含める。
- MEDLINEでの正確な検索を可能にするため、資金提供元は抄録の後に別途記載する。
- 臨床試験の場合、ICMJEでは、抄録末尾に臨床試験登録番号を記載することを推奨している。
- 語数制限は厳密に守る。
- 抄録と論文本文の内容が完璧に一致しているか、必ず最後にもう一度確認する。
キーワード
- キーワードの数は、必ずターゲットジャーナルの投稿規定で確認する。規定にキーワードの数の指定がない場合は、過去にそのジャーナルに掲載された論文を見て、それと同数のキーワードを記載するのが無難である。
- 論文の相互索引 (cross-index) は、キーワードやフレーズを元に付けられるので、慎重に選ぶこと。
- 基本的にキーワードは、Index MedicusのMeSHの中から選ぶ。
- できるだけ検索エンジンに多くかかるよう、キーワードには、可能な限りタイトルに含まれていない語を選ぶようにするとよい。
略語
- 読者を混乱させないため、標準的な略語以外は使用しないこと。
- 論文のタイトルでは、CTなど頻出語であっても略語は使用しないこと。
- 略語の初回使用時は、正式名称をまず記載し、続けて略語をカッコ内に記載する。
- 一度定義した後は、原稿を通して略語のみを使用する。
測定単位
- メートル法 (メートル、キログラム、リットル) を用いる。
- 温度は摂氏 (℃)、血圧はジャーナルの指定がない場合、ミリメートルHg (mmHg) で表す。
- 血液検査や臨床検査の測定値を報告する単位はジャーナルによって異なるため、投稿規定を参照する。
- 国際単位系 (International System of Units: SI) が、全世界共通で使用されていないため、編集部からSIでない単位を併記するよう求められる場合もある。
- 薬剤濃度はSI、質量単位系 (mass units) のいずれか一方を使用して報告できるが、必要に応じて、もう片方の単位系の値もカッコ内に併記すること。