Case Study: 統計解析に関する査読者のコメントと解説 (5)

5. 結果の記述(1)

初回原稿
In multivariate analyses, immunotherapy was identified as an independent factor for recurence (adjusted relative risk 0.6, 95% CI 0.41-0.89, p=0.01), after adjusting for significant univariate variables (regional cancer spread [0.52, 0.35-0.77, p=0.001], and cirrhosis [0.63, 0.42-0.95, p=0.03]).
査読者のコメント
The authors should report the variables which were tested univariately and what were the results of this analysis.
修正原稿
Of 15 variables assessed, there were significantly related to recurrence in univariate analysis: immunotherapy, cancer spread, and indocyanine clearance. In multivariate analysis, the risk of overall recurrence in the immunotherapy group, compared with the control group remained unchanged.
解説
多 変量解析で解析対象となった因子(変数)は何か、単一因子解析(ここではlog-rank検定)の結果と多変量解析の結果とを明示するように求められてい ます。通常は表で解析結果を記述するのがベストでしょう。有意な因子が1個や2個の場合には本文中で説明することもあります。多変量解析の結果を表で記述 する場合に、推定回帰係数とその95%信頼区間、相対リスクとその95%区間、あるいは、相対リスクとp値というように、論文誌により、また、査読者の考 えにより、記述する統計量が異なることに注意が必要です。投稿予定の論文誌で、自分たちと同様な解析を行っている論文を複数見つけ、そこでどういう記述を 行っているのかを調べ、その記述に倣って論文作成を行うことは最低限必要なことです。

この例では、log-rank検定で有意となった3因子をCox比例ハザードモデルに投入して多変量解析を行っています。今回の解析結果は、3因子すべて がCox解析でも有意な因子となりましたが、一般には単一因子解析で有意な因子であるからといって多変量解析でも有意な因子となるとは限りません。

ある因子についてカテゴリー間のハザードが比例関係になかったり、2因子で強い相関があるときなどは多変量解析で有意とならないことがあります。このよう な場合には、多変量解析の解析結果をできるだけ詳細に分析し有意とならなかった因子について、“Discussion” でその理由を述べることも必要でしょう。

Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では、有意な変数の絞込みを行う際に、単一因子解析の結果を用いる方法以外に、逐次変数増減法や逐次変数増加法 (減少法)を用いる方法もあります。このような変数選択法を用いた場合には、モデルに投入した因子とそのカテゴリーをすべて挙げておきます。
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