出版倫理

International Committee of Medical Journal Editors ( ICMJE ) とは

3. Manuscript Sections(原稿のセクション)

a. Title Page(タイトルページ)

解釈

  • タイトルページに記載するべき情報は常識のように思えるが、驚くほど多くの著者がこれらの基本的な指針に従わず、重要な情報が抜け落ちたままになることがある。タイトルページは論文の「顔」に値するので、注意が必要である。
  • 表題は、短く明確にすべきだが、情報が不足するほど短くしないこと。
  • 無作為化試験、系統的レビューやメタ解析の場合は、表題でそれと分かるようにすること。
  • 正確に電子検索ができるような用語を表題に入れる。
  • トピックと直接関係ないような検索でも検出されてしまうような単語を入れるのは避ける。例えば、"Cancer and Chemotherapy (癌と化学療法)"というような表題は、当然ながら莫大な検索数を出してしまう。その論文が癌と化学療法を広くカバーした詳しいレビューでないかぎり、検索者が求めている情報を与えたことにはならない。そのため、"Research on …"、"Studies on …"、"Investigations on …"などの言葉は使用せず、できるだけ簡潔な表題にする必要がある。研究論文、research、study、investigationのいずれかであることは明らかであり、表題にこのような語を入れても特別な情報にはならない。
  • ICMJEは以前から、最高学位をタイトルページに入れることを推奨している。
  • すべての学術誌が各著者の最高学位を掲載するわけではないため、投稿雑誌の規定に「学位は掲載しない」と指示があった場合は、学位は書かない。
  • ICMJE Recommendationsでは、氏名の綴りについてはとくに言及していないが、アルファベットを使用しない言語圏から投稿する場合は、同じ姓でも綴りが異なる場合があるため、共著者の氏名の綴りに注意し、本人に確認し希望の綴りを使うようにする。例えば、Lee、Li、Rhee、または、SatohやSatoなど。
  • 氏名は、イニシャルと名字だけではなくフルネームで書くこと。
  • 現在所属している機関名だけでなく、研究当時に著者が所属していた機関にも重要な科学的発見の功績が認められるので、そちらの機関名と所在地も書くこと。
  • 部署名・機関名を提示する際は、略語はできるだけ避けること。
免責条項(但し書き):
  • 免責条項の概念とは、例えば、「所属の研究者が行った研究成果を出版することでなんらかのマイナスの影響が起きてもこちらは責任を負わない」、という記載を盛り込むことを研究機関側が要請してきた場合、その旨を免責条項という形でタイトルページに記載することができる、ということである。
支援元:
  • 出版や科学的研究の支援元の透明性が重要になってきている。
  • 公的な研究費、私立法人の研究基金、民間企業の研究費、機器や薬剤の寄付、統計に関する支援など、受けた援助はすべて明示すること。
  • 疑問がある場合は、論文投稿時にカバーレターで編集長に問い合わせること。
総単語数:
  • 学術誌にとって総単語数が重要である理由は主に2つある。①雑誌のスペース、②長すぎたり短すぎたりする論文を送って査読者に不要な負担を与えてしまう。
  • そのため、文字カウントはきちんと明記すること。
  • 本文のみの語数を記載する場合は、抄録、謝辞、図の説明文(figure legends)、参考文献を除外した数である旨を明記すること。
  • 抄録の総単語数も別に提示すること。
  • 特別な理由で、指示されている語数の範囲内に抑えることができない場合は、カバーレターで編集長に説明すること。
図表数の表示:
  • 原稿とともに提出した図表の数がきちんと記載されていない場合、編集局や査読者は、図表がすべて盛り込まれているかどうか確認することができない。
  • 論文と図表がすべて与えられるスペース内に収まるかどうかも確認できない。
  • すべての著者の財政的、物質的な援助に関する情報は公開しなければならない。
  • ICMJEでは2010年よりICMJE member journal共通の利益相反開示フォームが作成されている。
  • 学会や学術誌によっては、研究に使用された薬剤・機器メーカーから、著者がなんらかの支援を受けていたかどうかだけでなく、これまでに学会出席の際に支援を受けたり、講演で謝礼を受け取ったりしたことがあるかどうかなどの情報まで、非常に厳しく求めてくるところもある。
  • 論文中で使用されている製品のメーカーの競合他社から、著者がこれまでにそのメーカーから受けた支援に関する情報さえも要求してくる場合もある。
  • COIの開示フォームの他に、利益相反の申告を原稿内に明記する必要がある場合もある。記載情報や場所は、学術誌によって指定が異なる(例:タイトルページやDiscussionの後など)
  • 記述を始める前に投稿雑誌規定を必ず確認すること。

原文

General information about an article and its authors is presented on a manuscript title page and usually includes the article title, author information, any disclaimers, sources of support, word count, and sometimes the number of tables and figures.

日本語訳

タイトルページは、論文およびその著者の一般的な情報を記載する。記載事項には、論文のタイトル、著者の情報、免責事項、資金提供元、語数、また必要に応じて図表の数が含まれる。

Article title. The title provides a distilled description of the complete article and should include information that, along with the Abstract, will make electronic retrieval of the article sensitive and specific. Reporting guidelines recommend and some journals require that information about the study design be a part of the title (particularly important for randomized trials and systematic reviews and meta-analyses). Some journals require a short title, usually no more than 40 characters (including letters and spaces) on the title page or as a separate entry in an electronic submission system. Electronic submission systems may restrict the number of characters in the title.

論文表題。タイトルは論文の全体を集約した記述であり、論文が電子検索しやすくなる情報は、すべて抄録とともに表題に盛り込むようにすること。報告ガイドラインはタイトルの一部に研究デザインを含めるように推奨しており、一部の雑誌では必須となっている(特に無作為化試験、系統的レビュー、メタ解析では重要である)。一部の雑誌は短いタイトル(通常、字数はスペースを含め40字以内)をタイトルページ内または電子投稿時に別途含めるよう求めている。

Author information. Each author's highest academic degrees should be listed, although some journals do not publish these. The name of the department(s) and institution(s) or organizations where the work should be attributed should be specified. Most electronic submission systems require that authors provide full contact information, including land mail and e-mail addresses, but the title page should list the corresponding authors' telephone and fax numbers and e-mail address.

著者の情報。各著者の最高学位を記載すべきであるが、それを掲載するか否かは雑誌が決める。一部の雑誌では掲載されていない。その研究業績が帰属する研究機関、組織と部署名(複数の場合もある)を明記すること。大半のオンライン投稿システムでは著者のすべての連絡先情報(郵送の宛先および電子メールアドレス)の入力を求めているが、タイトルページには代表著者(corresponding author)の電話番号、ファックス番号、電子メールアドレスを記載する。

Disclaimers. An example of a disclaimer is an author's statement that the views expressed in the submitted article are his or her own and not an official position of the institution or funder.

免責事項。例としては、「本投稿論文に示された所見は著者自らのものであり、組織および資金提供者の公的な立場を代表するものではない」など。

Source(s) of support. These include grants, equipment, drugs, and/or other support that facilitated conduct of the work described in the article or the writing of the article itself.

支援先。研究費、機器、薬剤のほか、論文に記載された研究の実施を円滑に行うための支援や論文執筆のサポートを含む。

Word count. A word count for the paper's text, excluding its abstract, acknowledgments, tables, figure legends, and references, allows editors and reviewers to assess whether the information contained in the paper warrants the paper's length, and whether the submitted manuscript fits within the journal's formats and word limits. A separate word count for the Abstract is useful for the same reason.

総単語数。編集者や査読者は、論文の本文部分(抄録、謝辞、表、図の説明、参考文献を除く)の総単語数を見て、その論文の内容が論文の長さに見合っているか、学術誌のフォーマットおよび語数制限範囲内で書かれているかを判断する。同じ理由から、抄録の語数を別枠で記載することも有用である。

Number of figures and tables. Some submission systems require specification of the number of Figures and Tables before uploading the relevant files. These numbers allow editorial staff and reviewers to confirm that all figures and tables were actually included with the manuscript and, because Tables and Figures occupy space, to assess if the information provided by the figures and tables warrants the paper's length and if the manuscript fits within the journal's space limits.

図表の数。オンライン投稿システムの中には、図表の数をファイルのアップロードの際に指定するよう求めているものもある。図表の数を記載することで、編集スタッフや査読者は図表が論文に正確に含まれているかどうかを確認することができる。また、図表は一定のスペースを占めることから、図表の数によってどの程度の論文の長さになるか、またスペースの制限内に収まるかどうかも確認できる。

Conflict of Interest declaration. Conflict of interest information for each author needs to be part of the manuscript; each journal should develop standards with regard to the form the information should take and where it will be posted. The ICMJE has developed a uniform conflict of interest disclosure form for use by ICMJE member journals and the ICMJE encourages other journals to adopt it. Despite availability of the form, editors may require conflict of interest declarations on the manuscript title page to save the work of collecting forms from each author prior to making an editorial decision or to save reviewers and readers the work of reading each author's form.

利益相反(COI)の申告。すべての著者のCOIを原稿内に明記する必要がある。各雑誌においては、この申告を行うフォームの標準と、どのようにして申告するかを定める必要がある。ICMJEは、ICMJEに加盟している雑誌に対してCOIの申告のための統一的なフォームを提供しており、これらの使用を奨励している。ただし、このフォームを使用せず、著者に対してタイトルページに記載するよう求める雑誌もある。これは、各著者から採否の決定の前にフォームを収集したり、また読者がフォームを作成して編集者がそれを読むという労力の削減のためである。